コラム

通訳の現場で起きた珍事件をお届けします。

通訳こぼれ話

■通訳七つ道具〜同時通訳編〜

2008年11月にブースに籠っての同時通訳をやったので、役に立つ七つ道具をご紹介。
あ、私のアイデアではなく、他の通訳さんのアイデアによるものが多いです。

1.同通資料
あったり前ですが、同時通訳の下原稿がある場合はできるだけ事前翻訳して忘れずに持参。
以前、折角ほぼ徹夜で訳した会社役員さんのスピーチ原稿を自宅に忘れしかも、元の日本語原稿まで忘れてきたというおマヌケをやったことがあります。
何日間かに渡るブースでの同時通訳の場合、元原稿だけでも高さ20センチ、とかってなることもあるので、一部を忘れてきても気づかないことが多い(私だけ!?)
後は、当日使う順に並べておくことも大事かな?
もし、進行表や台本があればもちろん、大事なツール、忘れてはいけない。
そして台本のナレーションの通訳もあるので、時間があれば、これも事前に訳しておければベスト。
そして、往々にして通訳資料は通訳が終わったら速やかに返却するので元原稿に訳文を記入すると、自分が訳した文も手元に残らなくなる。
なので私は訳文を別紙にワープロ打ちして、時間があれば切り貼り。
なければ当日は元原稿のページと自分の訳文のページ、
発言言語が聞き取れる言語の場合は音声に合わせて訳文を読む、または変更されていればその場で生ナマ同通。
私は用語の整理と今後の参考のため、訳文と用語集を同時にPCで作成、打ち合わせなどで確認した単語やよりよい訳語があればPCで一括変換で新原稿出来上がり!(一部だけなら手書きの方が早いけど。)何度も同じ言葉を使う時は便利です。
これなら、元原稿の全文は残らないけど、用語集と自分の訳文は残る。
次に同じような通訳をする時にとても参考になる。

2.電子辞書
準備の段階では紙の辞書を引いている時間もあるので特に中国語の専門用語となると、電子辞書では足りなくて重宝するのですが、これが引けるのは打合せやリハーサルまで。
当日、ブースに入ってしまうとそんなもの引いている時間はないし、置く場所もないし、ペラペラとめくる音をマイクが拾ってしまうので、やはり、素早く反応してくれるベーシックな電子辞書が便利。
今時の通訳さんは皆、持っていますね。
案外、原稿にない話で、ふと、訳語を探したい、ということがあるもの。
また、ペアで入っている通訳さんが困っているようなら、相棒が辞書を引いて見せてあげることも。
(これはどちらかと言うと、私が助けられるケース!?)

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3.はさみとセロハンテープ
休憩時間には工作で気分転換

というのはウソ。
原稿がけっこう変わるので、変更された部分を別紙に書いたり、パソコンで打ったりして訳文を作った場合、全部を再度プリントアウトしている時間はないので、変更部分だけ切り抜いてもともとあった原稿に貼り付けることも。
これなら追加も楽々。
特に今回はPPTを使ったプレゼンで、上半分にPPTのイラスト、下半分に英語または中国語の原文と日本語訳、という原稿が多く、イラストに合わせて通訳をオンエアするためには、できればイラスト原稿も同時に見えたほうがいい。
となると、イラストの下に、自分で作った訳文をはさみで切って貼り付けるのが便利。


ドアが開いた状態の通訳部屋の通訳ブース。二畳あるかないかのスペースにテーブルと言語切り替え機器、マイク、ヘッドホン、電気スタンド、椅子二脚が入っている。
今回は会場が見えない部屋での通訳だったので、会場全体を写すモニターとプレゼンのPPTが見えるモニターの二台がブースの外に設置。

4.ステープラー
俗に言うホチキスです。
とにかく原稿一部当たりの枚数が多いのでゼムクリップでは留まらない。
固定しておかないと他の原稿と混じる。
家で作業して終わり、ならいいけど、本番直前に原稿入れ替え、しかも留めていない、ということも多いので当日ステープラー持参。
打合せの日は必需品。
ステープラーで留まらない枚数の原稿は大きなクリップで。

5.付箋
大小あると何かと便利。
原稿の変更が一部であれば、小さい付箋でペタッと貼れる。
打合せ時は、どのページのどの部分が疑問点か、付箋に書いてそのページにペタッ。
台本は、自分が担当のページにペタッ。
本番中、ブース外からの指示も付箋に書いてくれると、ブースには普通二人で入るので、二人の真ん中の見えやすい位置に貼れる。
オンエア中にペアの人に伝言したいときも、一時的に貼れて、読み終わったら剥がせる付箋は重宝。

6.メモ用紙
人に渡さないメモは、付箋は高いので、自分用の裏紙などのメモ用紙に記入。
自分用ならセロハンテープで貼ればいい。
途中で訳忘れ部分とか追加部分の訳をした時、たいてい付箋では書ききれない。
何枚も書くよりはA4かB5の用紙に書いた方がバラバラにならずに済む。

6.太字マーカー、蛍光ペン
緊急の伝言はボールペンの文字では細すぎて見にくい(ブース内、けっこう暗い)。
その場合は大きめの紙に太いペンで書いて、ペアの通訳さんに渡す。
コーディネーターの人に伝言したくてブースのドアを開けるとうるさい場合は、やはり大きめの紙に太いペンで書いて、窓に外から読めるようにペタッ。
蛍光ペンは自分の原稿の大事な部分にマークするため。
本番中に気づくことも多いので、これもブースに持って入るといい。

7.イヤホン
ブースにはヘッドホン備え付けだけど、一日中通訳してヘッドホンしていると重くて肩が凝る。
なので肩凝りが嫌な人は使い慣れたイヤホンまたは
自分専用のヘッドホン持参の通訳さんが多い。

8.のどあめ
とにかく喉を使う仕事。声が出なくなっては仕事にならないので、袋単位で持参の人が多い。私も今回は袋で持っていって、すべて消費してしまった
ただ、休憩中になめていて、突然、アナウンスが入って緊急に通訳することもあるので、そういう場合はさっと袋なり包み紙に戻して通訳するので、少なくとも一枚、個別包装の袋や包み紙を残しておくといい。

9.お茶または水
今回はコーディネーターの方が、500mlのお茶のボトルを一日1人一本、用意してくれた。
空調で喉が渇くので、これも必需品。
私は飲みきってしまうことも季節によってあるので、自分でも350mlくらいのマイボトル持参。
ただ、会場で用意してくれるお茶はみな同じなので、ここで太字マーカーが役に立つ。
自分のボトルの外に名前を書いて、さらに消えないようにセロハンテープを上から貼っておけば、間違えられることはない。
自分が通訳担当しない時は、必ずブースの外にもって出て、本番までキープ。

10.チョコレート
頭を使うとかなり体力を消耗し、何日も続く通訳だと途中で貧血状態になることも。
食事をしっかり摂って臨んでも、ふらつくことはある。
ヘタすると、食事が摂れないことも。
そんな時に、すぐにエネルギーになってくれるチョコレートは通訳の非常食。
今回はこれもコーディネーターの方が一ブースに一箱、用意してくれた。
自分でも持っていったけど。

10.栄養ドリンク
私の場合は(いや、他の通訳さんもけっこう…)疲れるので、
栄養ドリンクを持参。朝も家を出る時に一本、昼食時に一本。
カフェインも入っていてすぐに効いてくれるので、私には必需品。

11.録音機器
通訳内容は機密情報なので普通は録音できないけど、、個人の研鑽のためだけに使う場合、個人の通訳音声を録音することを許可してくれるケースもある(まれだけど)。
そういう場合は録音機器を持ってきて、自分の訳を録音し、後で聞き返してもっと適切な訳ができないか、研究する通訳さんもいる。

結局、七つでは納まりきらなかったけど、使う通訳さん、使わない通訳さんがいるので
実際はここから自分に応じたものを使えばいいと思う。

ただし、これはあくまでブースに入ってテーブルがある形での通訳の場合。
移動を伴う通訳はまた、別。


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