コラム

China Salonの代表がどのように中国語のレベルアップをしてきたかを、スクールへお問い合わせいただいた方への具体的、ケース別アドバイスを交えながらご紹介。

中国語勉強法

■通訳になるには?2


質問者のプロフィール

中学校の生徒。「総合的な学習の時間」の課題として通訳という仕事について質問。

Q

1.学生のころはどのような生徒さんでしたか。

A

 自分で言うのもなんですが、非常に真面目で成績もよかったんですよ。高校時代には部活動でフォークソング(実際にはロックバンド)をやっていました。毎日毎日、朝と夕方、ドラムやキーボード、ギターの練習をして勉強も、部活動も、両立していました。大学時代もやっぱり一生懸命勉強しほぼオール優で卒業しました。クラブはやっていませんでしたが、食べ歩きの会を友達とやっていて、よく近場に旅行しておいしいものを食べていました。バイトもしていましたね。

Q

2.学生の時にショックを受けたことはありますか。また、外国の方と文通や留学をした経験はありますか。

A

 カルチャーショックのことでしょうか。中学校や高校で英語や漢文を勉強したときに、ああ、日本人とはかなり考え方が違うな、と思って、外国語に興味を持ったのです。私は典型的な日本人の考え方はあまり好きではないので、外国に、違うものを求めたのでしょう。
 私は中国語の通訳ですが英語にも興味があって英語圏の文化や英語、漢文(孔子とか老子とかです)を楽しみながら勉強していました。
 中国人とは、今でも文通しています。もちろん、中国語で。楽しいですよ、一つのことがらに対する考え方が、国によって地域によってかなり違いますから。
 留学も経験があります。中国の北京に短期留学5週間、中国の天津に長期留学で約1年、それから仕事で香港に1年滞在しました。語学の勉強以外に、現地の文化、雰囲気、習慣なども学べ通訳に非常に役だっています。チャンスがあれば、行ってみてはいかがでしょうか。

Q

3.この職業に就きたいと思った理由は何ですか。

A

 日本にない考え方や事柄を、いろんな人に紹介したいと思ったのが一番大きな理由です。
 ほかには、人と接するのが好き、日本が嫌い、自分の幅を広げることができるなどの要因もあります。
あとは、会社員などと違って、自分が主になってフリーで働けるから。私は人に命令されるのが大嫌いなのです。
 もちろん、通訳も、クライアントの要望に基づいて働くので自分勝手に仕事できるわけではないのですが、組織に属しているわけではないので、精神的に楽です。ただし、リスクを恐れる人にはお勧めできません。自分で仕事をとってきて、実績を積んで、人に自分をアピールするのは積極的な人にしかできないことですから。口を空いていれば仕事が降ってくる、なんてことはありえません。

Q

4.どのような進路をたどって通訳の仕事に就いたのですか。

A

 高校までは地元の進学校ですごし、大学は、自分がやりたかった中国語の教育に力を入れていた早稲田大学の文学部に進学。当時は、第一外国語の英語が週に3時間、第二外国語の中国語が週に4時間、と中国語のコマ数が多かったのです。ここでしっかり中国語の基礎を学びました。
 2年生のときだったか、北京に5週間の短期留学もしました。
 3年生のときは、大学と同時に中国語の専門学校にも通い中国語や英語、秘書、ワープロなどの資格をとりました。
 その後、地元名古屋の海運会社に入社、中国室に配属され、普段は貿易事務・営業をしながら、中国人研修生の受け入れ手続きと研修中のお世話、通訳をしました。中国室に配属されたのは、大学時代の成績と中国語関連の資格が評価されたのだと思います。
 研修生の通訳とはいうものの、当時は中国語はある程度できましたが会話がほとんどできなかったし、リスニング力も低かったのでたいした通訳はできませんでした。ただ、仕事をしながら通訳もさせてもらい、大変勉強になりました。
 もちろん、自分でもかなり準備しましたよ。睡眠時間は当時は5時間くらいでした。会社でも夜中まで残業して現場案内のための中国語の準備をしました。
 通訳は外国語だけできてもだめです。通訳が必要な分野の業務知識、その分野の日本語での知識、判断力、推察力、瞬発力、持久力が必要です。この海運会社での通訳のときに、このようなことを学びました。
 一方で、会社在職中から中国語を教えていました。どこかに雇ってもらうのではなく、自分で中国語サークルを作り新聞などで広告して生徒を集めて教えました。これがとてもいい勉強になりました。人に教えると、自分のどこが弱いか、よくわかるのです。
 在職中に2年ほど、会社とこのサークルでの中国語講師の二足のわらじをはいていました。
 その後、会社を3年数か月でやめて、日中友好協会の公費留学の試験を受け、天津に1年公費留学。その間に猛烈に勉強しました。もともとリスニング力が弱く会話力がなかったので話す方をメインに勉強し、留学先の学校の留学生のなかで一番成績がよかったのです。留学の最初のクラス分けから上級クラスに入り、終了まで上級クラスにいました。
 このときに、HSKという、英語でいうとTOEICやTOEFLと同じようなレベルチェックテストを受け、1級から11級まである中で上から二番目の10級を取得。
 帰国後、知り合いやもとの海運会社のときの同僚などを通じて通訳の仕事を紹介してもらい、派遣会社にも登録して通訳・翻訳を始めました。そして、海運会社時代からの中国語サークルを中国語スクールにしてそちらでも自分で中国語講師を続けました。
 今でも、この通訳と講師の両方をやっていますが、97年始め、パソコン通信で香港のテレビ局での日本向けニュース放送の同時通訳の仕事をみつけ、試験を受け、200人以上が応募した中から15人を選ぶという厳しい専攻をパスし一年間、香港の衛星放送テレビ局で、ニュースの翻訳・通訳をしました。この仕事は98年3月末で契約満了のため日本に帰国。
 この他、中国語検定の一級も98年に取得。現在に至っています。

Q

5.今、何時間ぐらい仕事をしていますか。

A

 まず、中国語講師として、平日は授業が一日平均4時間、スクールの事務や営業、雑用などが一日平均1-2時間、通訳が入るとこれ以外に一日7時間ほど。仕事時間は、長い日は12時間を超えます。あと、私の場合は、土日、祝日もレッスンが一日平均4時間ありますので休日はほとんどありません。

Q

6.会議通訳か翻訳か同時通訳のどれをやっていますか。

A

 私は通訳としてはまだまだひよっこなので、会議通訳はやったことはありません。同時通訳はちょびちょびやっています。CNNのようなテレビニュースの通訳は「放送通訳」とか「時差同時通訳」とか言われますが、これなら1年の経験があります。
 私はこの他に、工場などに研修に来る中国人研修生の現場研修通訳や警察・検察での取調、裁判などの司法通訳もしています。
 翻訳もやっています。
 本来、通訳と翻訳は全く異なる仕事なのでプロの人はどちらかしかやりません。でも中国語は仕事が少ないので、いろいろやらないと生活できないのです。翻訳は中→日より日→中の方がニーズが多いですね。

Q

7.専門は何ですか。

A

 大学の専攻は人文学です。中国と日本の比較文化を卒業論文のテーマにし、中国でアンケートをとって、その分析をしました。
 通訳の際の専門は、今は特にありません。経験からいうと、ニュース(主に政治・経済)、工業、法律がほとんど。たまに医学関連もあります。将来的には、工業をメインにしたいと思っています。大学の専攻とは全く関係ありませんが。

Q

8.大学で苦労したことやうれしかったことは何ですか。

A

 苦労したことは勉強だけ。
 嬉しかったのは、資格試験がけっこうたくさん取得できたこと、東京の大学だったので著名な先生方と知り合えたこと、資料や本屋など情報がすぐに手に入ったことでしょうか。

Q

9.仕事はどのようにして入ってきますか。

A

 ほとんどが派遣会社や、通訳センターのようなところからの依頼です。登録しておいて、派遣され、いい仕事をするとけっこう何度も依頼があります。いい加減な仕事をすると、二度と連絡はありません。シビアです。
 この他は、私は自分で中国語スクールも経営しているのでそちらの広告を見て、通訳や翻訳を頼んできたり、私の生徒さんが勤めている企業で通訳が必要で、紹介してくれたりというケースもあります。
 中国語講師をしていることが、通訳の仕事獲得のセールスポイントになっています。つまり、信頼できるということ。
 また、日本人は資格をかなり重視していますから、素人の人でも価値がわかる資格をもっていると、仕事がもらいやすくなります。

Q

10.仕事の前に準備しておくことはありますか。

A

 もちろん、たくさんあります。その業界の常識、専門知識、専門用語を日本語と外国語両方で身につけなければなりません。
 司法通訳は私はもう慣れたので、法律の名前以外は特に準備はしませんが、工業分野での現場通訳があると、機械の名前やら物理、化学の知識やらかなりの準備が必要です。

Q

11.仕事で海外に行って学んだことなどありますか。

A

 4を参照してください。
 学んだことはたくさんあります。それまで放送通訳はやったことがなかったので中国語だけでなく、そのテクニックやその業界の知識も勉強できました。日本にはまだ、中国語の放送通訳経験者が少ないのでいい経験になりました。

Q

12.仕事で海外に行って困ったこと、驚いたこと、新しい発見などはありますか。

A

 通訳の世界は、超実力主義です。資格や学習年数も大切ですが、要はどれだけ上手に通訳できるかにかかっています。そのためには、外国語の力と、通訳のテクニックのほか、「きれいな、正しい日本語」の力と、一般常識が必要です。とくに日本人通訳は、日本語力で、通訳の能力を判断されますから、日本語に磨きをかけることも、忘れてはいけません。
 私は香港で仕事したのですが、やはり通訳の能力が高い人は給料も高かったのです。15人いて、一番優秀な人はできない人の2倍近い給料をもらっていました。日本の、ぬるま湯になれてしまっている人には想像できないかもしれませんね。

Q

13.セミナーはどんな感じですか

A

 大学のゼミのことですか? 私の専攻にはゼミはありませんでした。なにせ、みんな専攻がばらばらで、一緒に勉強できる環境ではなかったので。

Q

14.セミナーでうれしかったこと、学んだことは何ですか。

A

 セミナーがなかったので、パス。

Q

15.通訳になって、誇りに思っていること、感謝していること、必要なこと、いいところはありますか。

A

 私はまだまだひよっこなので、誇りに思うなんて、恐れおおくてできません。でも、他の通訳さんに比べて仕事がスムーズに進んだ、と言われるとちょっと嬉しいですね。
 感謝していることというのも、特にありません。他の人にお膳立てしてもらってなったのではなく、自分で苦労して、努力して今の通訳の能力を身につけたのですから。
 あえて言えば、私に中国語を教えてくれたすべての人に感謝する、くらいでしょうか。
 通訳に必要なことはたくさんあります。語学力、文化歴史などに対する理解、一般常識、専門知識、通訳のテクニック、判断力、推察力、瞬発力、持久力、体力、協調性、積極性、専門分野などでしょうか。このうち、語学・知識に関する内容については外国語だけでなく、日本語についても必要です。英語から日本語に通訳して、日本語の用語を知らなかったらお話になりませんから。それに、一般的な会話などの通訳というのは、実際にはほとんどありません。そういったことなら、普通の人でもできますし、ボランティアでやってくれるでしょう。プロの、報酬をもらって通訳をする人は、専門的な内容を理解できる頭とそれを通訳できるテクニック・経験が必要。
 通訳をして、いいところ。いろんな人に出会える、いろんな分野のことを強制的に勉強させられ、覚えられる、人の喜ぶ顔が見える、などでしょうか。

Q

16.私は英語が好きで、将来通訳になろうと思っていますが、どのような進路にすすめば夢は実現可能でしょうか。

A

 通訳というのは、通訳になるのが目的ではないはずです。それが夢だ、というのは、考え方が甘すぎます。もっと具体的に、通訳で食べていけるくらい稼げるようになる、とか誰にも負けない通訳者になるとか、通訳になってからどうするのか、を考えるべきです。
 通訳は、例え英語の通訳であっても、それだけで食べて行くのは難しい職業です。常に仕事があるのは企業のお抱え通訳で、その場合は、給料は普通の事務員とそれほど変わらないでしょう。フリーでやるなら、相当の覚悟が必要です。仕事は定期的に来ることはまず、ありません。何か月も仕事がないこともざらです。それは頭のどこかに入れておいた方がいいでしょう。
 まあ、それはさておき、「夢」というのはどんな方法でも実現は可能です。どんな進路に進もうと、努力さえ怠らなければ、夢は実現できます。そして、やり方さえ間違えなければ。
 方法や進路は、その人の能力や考え方によって違いますから一概には言えません。ある大学に通えば必ず通訳になれるかと言ったら、そんな保証はどこにもありませんから。現に、外国語大学を卒業していながら、外国語を全く話せないという人が大勢います。というより、話せる人の方が少ないくらいです。だから、進路を選ぶより、どんな手段をとるか、を考えた方がいいでしょう。もし、まだ長期留学したことがないなら、なるべく若いうちに一年以上の長期留学をして、まず完全に英語をマスターすることが大切。いろいろな検定試験の一番上のレベルを取得できるくらいに。今、英語なんてはっきり言って誰でもできます。その、普通の人ができないことを通訳がやるのですから並大抵の語学力では、英語の世界では仕事はもらえません。競争は激しいですよ。
 そして、その中で仕事を獲得するには、専門を一つ、なんでもいいので身につけること。文学はだめです。お金になりません。スポーツでも、コンピュータでも、工業でもなんでもいいのです。まず、日本語でその分野のことをマスターすること。そして、その後でいいので、その分野の英語をマスターする。
 私は文学部だったので、仕事に生かせる専門がありませんでした。でも、海運会社に勤めたので、貿易関連のことはだいたいわかります。その分野の中国語も勉強しました。これがきっかけになって、「貿易がそれだけできるなら、他の分野をまかせても大丈夫だろう」と電化製品のメーカーでの研修生の通訳の仕事が来ました。
 でも、何も専門がないと、まず信用してもらえないので最初の仕事が来ません。とにかく、人に負けない専門知識も必要です。どの分野にするかは、自分の興味や、今後必要度の高い分野を考慮して自分で決めればいいでしょう。できれば、仕事の絶対量が多く、ライバルが少ない分野がいいですね。中国語の場合は、工業関係です。通訳さんは女性が多いのですが、女性は往々にして機械に弱く、その分野は避ける傾向にあります。そうすると、工業がわかる通訳が足りなくなります。ここで工業に強ければ、仕事が来るようになります。私はもともと機械とか理系のことは大好き(文学はあまり好きではない)ので工業関係の仕事はできるだけ受けて、仕事しながら勉強しています。
 あと、通訳の常識として政治・経済は必ず必要です。会社のトップの通訳をしたり、会議通訳をしたりすば、必ずその時々の政治経済の話題は出てきます。新聞に出てくるくらいの話題は、常にチェックしておくといいでしょう。
 そして、何より日本語を軽視しないこと。きれいな、正しい日本語を話す努力をしましょう。こんなところでしょうか。


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